2020年3月2日。
阪急阪神ホールディングス代表取締役会長である角和夫理事長が、宝塚音楽学校の106期生卒業式にて祝辞に立ちました。
そして、式典のスピーチで”とあるプラン”について言及。
そのプランとは…『宝塚歌劇団夢組』の発足。
・夢組への乗り気でない理由
について、お話します。
ニュースを見たときびっくりしたよ…
『夢組』って何?
『宝塚歌劇団 夢組』とは、宝塚歌劇団OG(卒業生)によって構成される組です。
まだ正式発表できる段階ではないと角理事長は語っていますが、OGを組織化…卒業生による組を劇団内で作り、ショーなどを上演するというもの。
卒業・退団後も“舞台に情熱を持つ方を組織化“して、“上質なショーを提供できる”ことを目指しているそうです。
まだプラン段階であるという前提の上で、個人的見解を以下お話します。
『夢組』は夢を壊す?
さて、一言でいうと「夢組は必要ないんじゃないの??」というのが、自分の考えです。
そもそも、“上質なショー”とはなんなのでしょう。
今の宝塚歌劇団は”上質ではない”ということなんでしょうか。
そして、“舞台に情熱を持つ方を組織化“って…舞台に情熱を持っているのであれば、宝塚歌劇団をやめないのでは?
(また、もしも辞めてしまったあとに夢組配属になったら「生徒」という概念はどうなるのでしょ)
宝塚歌劇の美しさのひとつは「有限であること」
宝塚歌劇の美しさのひとつは「有限であること」と思っています。
それは「卒業・退団」という終わり。
終わりがあることがわかっているからこそ、その一瞬一瞬の輝きを大切に観ていたい。
そして、いつか来る終わりに向けてタカラジェンヌの皆様もすべからく邁進しているという、永遠ではないが故の美しさがあると思っています。
もしも『夢組』が発足したら、2つの懸念があります。
退団してすぐ『夢組』に配属される場合
卒業挨拶とか意味なくなりませんか…??
これまでいろいろな挨拶で涙を流してましたが、「このあと夢組いくんだよなー」って思いながら聞く卒業挨拶って、特段心に来ない気がします。
そしてそもそも、劇団内に『夢組』をつくるのであれば、もはや卒業という概念ではない(=「卒業生を組織化」というテーマから外れている)ですよね。
退団したあとに数年立って夢組配属される場合
娘役は一旦おいておきまして、退団後の男役の方々は”女性”として輝いておられるOGの方々がたくさんいます。
男役という”かっこいい”スターから、素敵な女性へと変わります。
そこからまた「夢組スターとしてがんばります!」というのは、個人的についていけない気持ちの方が大きいかな、と。
舞台に情熱を持っている上級生の方々は?
そして何よりも「今おられる上級生の方々に失礼では」と、真っ先に感じました。
各組組長の方々や、専科の方々、そして各組上級生など……あえて言わせてもらうと、宝塚歌劇団生徒という個人の人生に制約がある以上に、「タカラジェンヌ」という意識を持って、舞台に情熱をかけているわけですよね。
もしも卒業後、一般人になって好きなようにしたあとに戻ってきて『夢組所属の◯◯です!!』なんて言われても、他の組の方々と同じように応援はできません。
OGの活躍(卒業生特別公演)は大賛成
と、『夢組反対!』一辺倒でしたが、宝塚歌劇団でのOGの活躍を否定するものではありません。
むしろ、宝塚歌劇団で活躍された方だからこそ、何かかしらの形で劇団で姿を観られると嬉しいな、と思います。
たとえば、『エリザベート』『ロミオとジュリエット』『ベルサイユのばら』『ファントム』などのロングセラー作品が宝塚歌劇団にはたくさんあります。
それらの「公演◯周年」というタイミングに、その公演を務めたOGが集合することもできます。
その他にも、同窓会的に劇団主導で『OG特別公演』と銘打った上演もできます。
あくまでも、恒常的な『夢組』という組織に懐疑的であって、タカラジェンヌを過ごしたOGの方々を観るのも楽しみです…そして、卒業後に舞台などされていて、さらにパワーアップしている方はその姿も楽しみです。
ですので『夢組』ではない、別のやり方で「宝塚歌劇団×OG・卒業生」という力を見せる方法を考えてほしいものです。
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