今回感想を綴るのは、雪組公演 『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』の感想…..キャスト編!!
※ストーリーメインの感想はこちら
※ショー『SUPER VOYAGER!』の感想はこちら
※1/16追記:キャスト編②の感想はこちら
お芝居もショーも名作と評判の本作….今回はお芝居『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』で特に印象に残った、登場人物とキャストについて感想を綴りたいと思います!
…とはいったものの今回書いてみるとかなりのボリュームに…(笑)
本記事では、望海風斗さんと真彩希帆さんのトップコンビ二人の感想を綴り、次回に繋げたいと思います!
マクシミリアン・ロベスピエール:望海風斗
『ロベスピエール』といえば、多くの宝塚の舞台で演じられている人物の一人。
(例えば、自分であれば『スカーレット・ピンパーネル』でのロベスピエールが真っ先に思い浮かびました)
そんな役柄を演じた、“だいもん”こと新雪組トップスターの望海風斗さん。
一言でいうと、新しいロベスピエール像を見事に確立したのではないでしょうか。
もちろん、これほどまでにロベスピエールにスポットを当てた作品が宝塚ではあまりないということもありますが….純粋な青年・狂気・愛・野望…といった多面性のある人間、何よりも『革命の象徴』の前に『一人の人間らしい人間』であることがイメージが鮮烈に残りました。
まず最初は革命の中心人物ということ
ここは語るに外せないですよね。
そして、本作でより印象的なのは何よりも『魅力的な革命家』であるということ。
「市民のため」という想いを強く主張するロベスピエール。しかも、表で良いことをいっているだけでないのですよ……話の序盤からルイ16世が処刑され、ジャコバン派の勢力が強く、浮かれている議員もいるのですがロベスピエールは同僚の議員に対しても「自覚を持て」と。
もちろん言われた同僚の議員からは「調子に乗るなよ(的な笑)」感じにはなるのですが、そう言われてでもまっすぐな表情、そして希望を語るときの生き生きとした表情は、まさしく魅力が溢れているんですよね。
まさしく革命の象徴…誰が言わずともなぜか中心に推されていくタイプでしょうか。
この雰囲気作りが、また望海風斗さんの表情の豊かさ…そして何よりもその華麗な歌声にのせる気持ちの巧みさが光るなと感じます。
マリー=アンヌへの恋心、そして狂気の道へ
マリー=アンヌへの恋心….ここが本作唯一物足りない(いや、むしろ逆にとると誉め言葉なんですけどね)部分でした。
というのも今回のお芝居、95分です…1幕のみのお芝居。時間的に制約があるので仕方ないのですが、どうしてももう少しここで感情移入できるイベントなどあれば、個人的にはもう何も言うことはなし、といった感想です。
しかし、とはいっても本当見事なお芝居とお歌でございます。
きっと最初は恋ではなかったのだろうな、と思います。
『革命』という道に迷い・悩み・暗雲が立ち込めている中にきっとマリー=アンヌに希望を見出していたではないかな、と思います。
いつしかその希望が恋心に…
しかし、ロベスピエールが信じて共に革命の道を進んだダントンに生じた疑惑から歯車が狂いだします。
ロベスピエールは純粋がゆえに、掲げていた理想…そしてそれを達成するための『革命』を純粋なくらいに見ていたんですね。
だからこそ、恐怖で支配させるということを純粋に利用して、そのまま『恐怖政治』という狂気へ…。
だいもんのダークヒーロー的、といいますかこの闇に染まっていく感じ…闇の印象は圧巻です。
心の中に残るかつての純粋なやさしさ
そしてはじまるギロチン…。
『革命のためなら恐怖で制する革命家ロベスピエール』の誕生です。
その刃の矛先はダントンをはじめとするかつての仲間たちに。
「滞りなく処刑が終わった」と報告をうけるロベスピエールは「そうか…」と。この空虚な感じ…きっとロベスピエールは心の中に恐怖政治の葛藤があったのだろうと感じずにはいられない雰囲気をだいもんが出しています。
さいごに「マリー=アンヌは見失った」という報告には、先ほどの空虚な返事に魂が戻り、「今はどこにいる」的なことを聞き返し、安堵な様子。
自らがしてきたことへの葛藤はありつつも、しかし純粋がゆえにもう引き返せなかったのではないでしょうか。
そして、その自覚があるからこそ….「裁かれるべきは自分だ」と、恐怖政治で多くの者をギロチンにかけていったロベスピエールが、革命の中で裁かれる。
望海風斗ロベスピエールは、『革命という理想に燃える純粋さ』『理想のためにどんな道でも進む純粋さ』『一度走り出すと止まらない狂気』『真の慈愛の想いは消えない』といった、繊細で儚い存在を完成させたのではないでしょうか。
マリー=アンヌ:真彩希帆
いや、もうね、お歌お上手!!!!
何度も言いますけど、歌自体も上手ですし、それに乗せている心情も端々から感じるんですよね。いやー….表現の鬼ですね。
さて、そんな真彩希帆さんが演じるのは、革命によって家族・愛する人を奪われた貴族の女性。
そして、その恨みは『革命の象徴』であるロベスピエールへ…そう、ロベスピエールへ(本人も逆恨みと認識しつつ)恨みを果たすため近づきます。
しかし、暗殺のために近づきつつもロベスピエールの人柄に触れることによって、当初の目的は消えていきます。
その中でます印象的だったのは、望海風斗さんとの掛け合い。
ロベスピエール「真実を教えろ」
マリー=アンヌ「教えないわ」
というやり取りが上品さの裏に、お互いの心の内を探りあっている心の繊細さを表現…..本当に歌うまコンビだからこそ表現できる掛け合いでした。
しかし、そこからお互いの境遇や気持ちが分かりあって、マリー=アンヌは恋心….ロベスピエールにとっては先述の通り希望の先へと続く存在だったのではないでしょうか。
やはり、ここに至るまでの心情描写をもっと見たかった(一本モノでみたいという贅沢な悩み)
序盤からラストシーンの監獄まで通してみると、もっとも心の奥底の気持ちが揺さぶられつつも最後まで悲しみに囚われていた存在だったのかな、と感じました。
さて、雪組公演 『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』は素晴らしいと何度も行ってきましたが、作品自体はもちろん、それを形にする…表現する演者がいてこそです。
今回、雪組新トップコンビはまさしくそれを見事に表現しきったからこそ、これだけ素晴らしい内容になったのではないでしょうか。
もちろん他の方もステキな演技をしていて綴りたいのですが….今回ここまででかなりの文章量となってしまいました…(笑)
ということで、他の印象的な方々は次回に続きます!
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