華やかな夢の世界、 宝塚歌劇
華やかで豪華絢爛な舞台で観る者を魅了する宝塚歌劇団。
出演者が未婚の女性のみで構成される劇団として幅広く知られていますが、実態はよく知らないという方も多いかと思います。
この記事ではベールに包まれた花園、宝塚歌劇団について触れていきます!
現代の宝塚歌劇団について
2019年現在創立105周年を迎えた宝塚歌劇団。
花組、月組、雪組、星組、宙組の5組と専科によって構成されており、役400名の団員が在籍しています。
本公演と呼ばれる本拠地の宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演を各組年に2公演ずつ交代で上演しており、本公演に当たらない期間は、組内で2〜3班に分かれ、外部の劇場や宝塚バウホール公演に出演しています。
また、各5組には組の顔と言うべきトップスターと呼ばれる男役と、その相手役となるトップ娘役が存在します。
宝塚歌劇団はスターシステムを採用しており、トップコンビが出演する公演では必ず主役をトップスターが演じ、ヒロイン格をトップ娘役が演じます。
トップコンビが主演を張り、2番手スター、3番手スターが主要人物に配役され、別格、中堅スターが脇を固めていくような作品を座付き演出家が創り上げています。
トップコンビが出演しない外部の劇場や宝塚バウホール公演では、未来のトップスター候補が主役となり、ヒロインにはトップ娘役候補が抜擢されます。
宝塚歌劇の創設の歴史 -黎明期-
時は遡ること1914年、宝塚歌劇団は阪急東宝グループの創業者である小林一三により、宝塚唱歌隊として創設されました。
初めての公演はなんと室内プールを改造した劇場で上演となりました。
その後、1919年に現在の宝塚音楽学校の発端とも言える宝塚音楽歌劇学校を設立し、これに伴い宝塚少女歌劇団を発足します。
この時に予科1年・本科1年を経て研究科へと進む学校組織が確立されました。現在も、トップスターであろうと宝塚歌劇団の団員は“生徒”と呼ばれ、入団○年目という表現は使わず、研○(研究科○年の略)という表現が使われていますね。
1921年には公演数と生徒の増加に伴い、劇団内を2手に分けるべく花組と月組が誕生します。
その3年後の1924年には、4000人を収容できる宝塚大劇場が完成し、これに伴い雪組が誕生します。
この時に、本拠地である大劇場にて各組が交代で1年を通して常時公演を行う形式が確立されました。
そして、この時代に宝塚歌劇が日本で初めてレビュー(歌やダンスに時事風刺劇を入れ込んだ舞台ジャンル)を公演に取り入れ、話題を集めます。年々宝塚人気は高まり、1933年には東京宝塚劇場設立に伴い、星組が誕生。現在に通じる宝塚歌劇団の運営スタイルが確立されていきます。
宝塚歌劇団の組の歴史と特徴
現在宝塚劇団は5組+専科により構成されています。
各組の歴史と特徴に触れていきましょう。
花組
宝塚で最も歴史のある組の1つで、 5組中の筆頭であり第一の組として位置付けられています。
男役はより男役らしく、娘役はより娘役らしくの型を重んじる精神が代々受け継がれている、宝塚の伝統が薫る組です。突き詰められた男役芸、娘役芸を感じさせる花組の舞台は、組名に違わずとても華やかで、これぞ宝塚!といった正統派の印象を受けます。
また、「ダンスの花組」と称される通りショー作品の評価が高く、一糸乱れぬ男役の群舞やたおやかな娘役群舞は見応えたっぷりです。
月組
花組と同時期に誕生した歴史の古い組であり、第2の組として位置付けられています。
「芝居の月組」と呼ばれ、今までに『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』『ME AND MY GIRL』『1789』などの一本物と呼ばれる大作ミュージカルを数々上演してきました。
また、月組出身のトップスターやトップ娘役は、退団後に女優として第一線で活躍するケースが多く見受けられます。
例として、大地真央さん、黒木瞳さん、涼風真世さん、天海祐希さん、檀れいさんなど、錚々たる面々が挙げられます。月組生は一人一人が新鮮な役作りと個のアピールに長けている印象です。
雪組
宝塚大劇場の完成に伴い新設され、第3の組として位置づけられています。
日本物が得意とされており、今までに『忠臣蔵』『星影の人』『星逢一夜』『るろうに剣心』など、日本物特有の心の機微を丁寧に描いた作品を数多く上演し、好評を博してきました。
また、現代の宝塚歌劇の代表作『エリザベート』を日本初演で上演し、雪組生の熱演によって大成功を収めた逸話があります。
質実剛健な雪組の舞台は安定感が高く、安心して観劇できる印象です。また、端正で美形な男役スターが数多く在籍していることでも知られています。
星組
東京宝塚劇場の立ち上げに伴い新設され、第4の組として位置づけられています。
ゴージャスなコスチュームプレイを得意としており、大振り且つ煌びやかな衣装や舞台セットを駆使した作品の上演に定評があります。
例として、『スカーレット・ピンパーネル』『眠らない男・ナポレオン』『王家に捧ぐ歌』など、西洋史を題材とした演目やオペラを題材とした演目など、スケールの大きい作品が挙げられます。
また、フレンチミュージカル『ロミオとジュリエット』の日本初演を上演したのも星組であり、群衆で魅せる息の合ったアンサンブルはお家芸と言える完成度で、客席を圧倒します。
宙組
1998年に第5の組として新設された、最も新しくフレッシュな組です。
5組の中で平均身長が最も高く、特に男役においては170cm超えの長身の生徒が多く在籍しており、一見しただけでスタイリッシュな印象を受ける組です。
また、迫力のあるコーラスは宙組の武器であり、思わず聞き惚れてしまう出来栄えです。組の立ち上げからまだ20年と僅かで最も新しい組である宙組からは、現代的な薫りが漂います。
自由なアプローチで伸び伸びと舞台に立つ宙組生は、スタイリッシュでありながらも自然体な魅力があります。
専科
特定の組に所属しないスペシャリストの集団です。
各組の公演に特別出演し、重要な役どころを演じて舞台を引き締める、もしくは主演として舞台を牽引することのできる貴重な人材が中心となっています。
宝塚歌劇団の象徴、男役の存在 国民劇として受け入れられるようになるまで
宝塚歌劇を語る上で不可欠なのが、男役の存在です。
女心を理解している女性が男性を演じるからこそ、多くの女性が理想とするようなロマンティックで魅力的な男性像を演じることができるのです。
例えるなら、歌舞伎における女形の美学に通ずるでしょうか。
また、男役を演じるのは鍛錬を重ねた選ばれし容姿端麗な女性達。
劇団創立者である小林一三の教え『清く 正しく 美しく』をモットーに、美しいスター達が華麗なる舞台で懸命に演じ生きる様は、家族ぐるみで安心して楽しめる国民劇として受け入れられるようになり、今日に至ります。
『ベルサイユのばら』や『ポーの一族』といった耽美な少女漫画を題材とした演目は、宝塚歌劇だからこそ舞台化が実現できたといって過言ではないでしょう。
まとめ
創立105年を経ても尚、観る者を魅了しファンの心を掴んで離さない宝塚歌劇団。
古き良き伝統はそのままに、常にその時代に合わせた新しい魅力を取り入れ、変化してきたからこそ継続してきたと言えます。唯一無二の美しさと感動を味わえる宝塚歌劇の歴史はこれからも紡がれていくでしょう!
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