“ヅカ男子レビューシリーズ”前回の『黒豹の如く』に続いての3公演目…雪組公演 『星逢一夜』『La Esmeralda』 でございます!(初の雪組感想!!)
2015年9月に東京宝塚劇場で上演された、早霧せいな率いる雪組の公演でございます。雪組といえば“日本物”と呼ばれる演目で定評のある組ですね。
今回の『星逢一夜』は、江戸時代が舞台となっており、藩主の子息である“天野晴興”(早霧せいな)と庶民の娘である“泉”(咲妃みゆ)、泉の幼馴染であり天野晴興の親友でもある“源太”(望海風斗)の愛をめぐる物語でした。
演出家”上田久美子先生”の宝塚大劇場デビュー作
“星逢一夜”は、これまで小劇場での公演の脚本で好評を博してきた演出家である“上田久美子先生”の宝塚大劇場デビュー作という記念すべき作品でございます。
そんな記念すべきこの作品…情緒あふれる感動的な作品でした。自分の感情がスッと舞台とリンクし、クライマックスでは自然と涙が流れるほど….
物語のプロローグは舞踊から始まるのですが、天の川を思わせる綺麗な夜空とマッチして非常に美しい…この時点で舞台に惹きこまれました。”何かを思う”よりも美しさを自然と感じました。
舞台の細部装置の細部に”江戸時代”の雰囲気を醸し出す緻密な演出、そして”星”とタイトルに入っている通り、夜空がテーマであり雰囲気の魅せ方に非常にこだわりが感じられる…そんな舞台ですね。
“舞台という見た目”の美しさはもちろんですが、役者さんたちの会話の掛け合いの”間”..ここからも情緒が感じられる…特に主人公の晴興の葛藤というのはセリフ一つ一つから伝わってきて、感情がひしひしと…
ただの”身分違いの恋物語”ではない…葛藤を演じきった”早霧せいな”
観る前にストーリーを確認した時に、”身分違いの恋”ましてや宝塚歌劇ということもあって、そういう物語であろうと勝手に思い込んでおりました。
が!!
そんなことはなかった…”身分違いの恋”に加え、江戸幕府の中枢で改革を推し進めていく晴興とそれによって苦しんでいく農民(泉と源太)。そして、晴興と源太が対峙していって…小さなころからの間柄の仲間が、大人になって様々な事情が交錯し、そして翻弄される…その中の心の葛藤が上手に描かれていました。
特に、主演の早霧せいなさんは、“子供のころの純真無垢な晴興→大人になり国のために改革を進める晴興”を見事に演じられました。そして、その中にある微細な感情(国のために冷徹な行動をしつつも情や後悔、途中の葛藤のように)をセリフの端々、間から伝わりました。これほどまでに役の気持ちを痛く感じることは今までありませんでした。
観劇中、自分は涙を流していたのですが…周りの方の涙の様子が…多くの方に届いた証だと思います。
この作品は定期的に何度も観ていける…そんな作品です。
齋藤先生演出『La Esmeralda』
30分の休憩を挟んでショーの始まり!! ですが、ビックリ。いや…齋藤先生らしいといえばらしいショーでした(笑)
舞台がノスタルジー感満載の感動的なお話だったのに対し、このショーはめまぐるしく動き、歌い、華やかなショーでした。
正直な感想を申すと嫌いではないのですが、”星逢一夜”の後だったので非常に差が…”星逢一夜”がむしろ短く感じられたので、一本物でも良かったのかなぁって。
ただ、”ショーらしいショー”のようで、宝塚を始めて観る人とかに、まず観てもらえると楽しんでもらいやすい作品だと思います。
とりあえず、星逢一夜が素晴らしすぎた公演でございました。
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