今回綴るのは、東京宝塚劇場で上演の花組公演『ポーの一族』
萩尾望都先生の傑作『ポーの一族』の初の舞台化にして、宝塚歌劇の上演となった作品です。
萩尾望都先生の傑作『ポーの一族』の初の舞台化にして、宝塚歌劇の上演となった作品です。
私は原作を一切知らないまま公演を観劇しました(キャラクターの特徴はWikipedia等で調べました)
上演2日目に当日券にて観劇してきてから少々時間は立ってしまったのですが、まだ観劇予定があるため改めて感想を綴りたいと思います。
※本感想にはネタバレが含まれます
あらすじ
永遠に年を取らず生き永らえていくバンパネラ“ポーの一族”。その一族に加わったエドガーが、アランやメリーベルを仲間に加え、哀しみをたたえつつ時空を超えて旅を続けるゴシック・ロマン。
引用:http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2018/ponoichizoku/info.html
主人公である『エドガー(明日海りお)』は、元々は普通の人間でした。
しかし、運命に翻弄され、永遠の命を持つ”ポーの一族(バンパネラ)”の一員になります。
「永遠に年を取らない」という夢のように感じるその状態…..しかし、その非情な現実にエドガーは直面します。
“バンパネラを忌み嫌っていた””普通の人間”であったエドガーがバンパネラになり、それにより”普通の人間”としてもう生きられなくなった……その切なさと葛藤が描かれています。
バンパネラとして生きるエドガーの永遠の旅の中での出来事と出逢い….上演後「永遠とは」と考えずにはいられません。
とにかく美しい”みりおエドガー”
原作の『ポーの一族』ですが、表紙しか見ていないながらも分かる耽美な雰囲気。
エドガー演じる明日海りおさんは、まさしくその雰囲気を体現していたのではないでしょうか。
エドガーは、少年時代にバンパネラになった(そこから年を取らない)ので、ある種のバージンのオーラを纏っている存在ではないでしょうか…..その存在を明日海りおさんは醸し出しているのですよ。
あるときは凛々しい戦士を、あるときは復讐の熱に焦がされた男を….と様々な役を演じてきたトップスターですが、ここにきて初々しい少年の姿を見事に纏っているのですよ。
まさしく“現実離れ”したオーラ。
そして、その美しいオーラの中にある””求めなかった永遠”との葛藤は、見ているこちら側の感情に訴えかけてくるものが…。
“幸せとは…?”を感じらせる”柚香光アラン”
今作は、トップスター&トップ娘役……ではなく!
トップスター&二番手スターに目を奪われるしかありませんでした……それは柚香光演じる”アラン”
エドガー×アランの尊さたるや。
アランは、ある町の有力な家系の子息。
その町へエドガー一行が降り立った際、アランとエドガーは出逢います。
何不自由なく生きてきたと思われたエドガー……しかし、その幸せかと思われる様子とは裏腹に、苦悩を胸に…。
そして、有力な子息ということで取り巻く周りの人とは違うエドガーに、次第に興味がわいてきます。
しかし、そのエドガーは“バンパネラ”
そして、エドガーも仲間としてアランを求め、バンパネラの血を与えようとします。
最初は拒んだアランだったものの、自らの境遇から最終的には受け入れることを決断します。
幸せと町中から思われていた家系….その中に生きるアランが選んだその決断は、「幸せ」とは何かを考えさせられます。
さいごに
本作を観劇するまで、『ポーの一族』原作を読んでいない私でも、“物語の切なさ”と“世界観の美しさ”を感じられました。
おそらく原作を読まれている方には、また別の視点から、そして感情があるかと思います。
原作ファンも、原作未読の方の多くの考察や感想を知ってみたい、そんな作品でした。
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