先日、東京宝塚劇場で月組公演『カンパニー』『BADDY-悪党は月からやって来る-』を観劇してきました!
お芝居『カンパニー』は、2017年に刊行された伊吹有喜氏の小説『カンパニー』を題材とした現代的なお話。
そして、ショー『BADDY』はノスタルジックなお芝居の脚本で定評のある演出家上田久美子先生が、初めてショーの演出を手掛けることで話題となりました。
(そして東宝組からすると、すでにムラ観劇勢や公表されている写真からも衝撃しか受けていませんでした)
今回は実際に観劇した感想を綴っていきます。
※ネタばれあります
カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-
あらすじ~ストーリーの感想~
先述の通り、伊吹有喜氏の小説『カンパニー』が原作の本作….原作は読んでおりません。
宝塚歌劇のあらすじを見てみると、
愛妻を亡くし生きる意欲を失った製薬会社の青年サラリーマン青柳誠二が、社の協賛公演を行うバレエ団への出向を命じられ、世界的プリンシパル高野悠が踊る冠公演「新解釈版・白鳥の湖」を成功に導くため、一癖も二癖もあるダンサーや業界人に翻弄されながらも、バレエ団のバレリーナ高崎美波との淡い恋や新しい仲間たちとの友情を支えに、様々な困難を乗り越え奮闘する姿を描くハートウォーミングな成長譚。
主人公はサラリーマンでありながらも、バレエ団(カンパニー)が主軸となるお話。
話のあらすじとしては、
- 珠城りょう演じる青柳誠二がバレエ団へ出向
- 青柳誠二は妻を亡くして以来目標を見失っていたが、バレエ団の公演成功のために奮闘
- 奮闘の中に様々な困難が…
- 最終的に公演は成功。青柳誠二も愛希れいか演じる高崎美波への新しい想いを胸に前へ進みだす
という非常にシンプルでわかりやすいものだったと思います。
お芝居&ショーなので、お芝居はおおよそ1時間30分の公演…..難解すぎる話だとポイントが分かりにくくて理解できず、かといってシンプルになりすぎると話が軽く感じられて非常に難しいですよね。
その中では良いバランスだったのではないかと思います。
キャスト感想①:珠城りょう(青柳誠二)
さて、”たまきち”こと月組トップスター珠城りょうさんが演じる青柳誠二ですが……「こんなサラリーマンになりたい!!」というのが第一の感想です(笑)
自分がサラリーマンであるので、そういう意味で感情移入しちゃうんですよね。
スリから人は助けるし、会社に企画をすぐに通すし、バレエ団の公演も成功させるし…..やり手で爽やかイケメン!!という….。
役柄+たまきちの雰囲気が醸し出すイメージが、本当に憧れるサラリーマンなんですよね。
役としては癖がないのかな…と思います(現代的なサラリーマンが役なので)。
なので、トップといえばキラキラ、中心、主人公といったものが多いですが、そんな主張はしないものの安定感をだし、違和感なくお芝居を観られたのは良かったかな、と思います。
キャスト感想②:愛希れいか(高崎美波)
次作の大劇場公演『エリザベート』で退団が決まっている、“ちゃぴ”ことトップ娘役の愛希れいかさん。
演じたのは、バレエ団の高崎美波。
これまた青柳誠二と同様に癖がなく印象が薄い役のイメージです。
バレエ団に所属し活動を続けるためにコンビニでアルバイトを続ける女性…..バレエ団という特徴はありつつも現代的な女の子です。
ちゃぴちゃんといえば力強う歌声で重厚感がある印象がありますが、今回はかわいい女の子…素直になれない恋心の表現とかかわいかったです。
役の設定としてバレエでの失敗とかがあるみたいなのですが、(おそらく時間の都合上とか)描かれていなかったのが残念です…そしたらもっと感情移入できたのかかなぁ。
キャスト感想③:美弥るりか(高野悠)
主要キャラクターでは最も特徴的だったのが、“みやるり”こと美弥るりかさん演じる高野悠。
世界で活躍するプリンシパルで、プライドが高く、またその分バレエへの想いが強い男です。
クールな装いながらも感情表現が豊かで、それでいて素直ではないような役の印象を受けたのですが、もっとクールに寄せて洗練されたイメージの脚本のほうがより物語にアクセントに出たのかなぁなんて思ってしまいます。
彼が言った「お客様も合わせてのカンパニー(仲間)」というのはまさしく宝塚歌劇にも通ずるのかな….と、なんだか美弥るりかさんが自分たちに向けていってくれているかのような、心への響きがありました。
BADDY-悪党は月からやって来る-
上田久美子先生が初めて演出したショーとなる『BADDY-悪党は月からやって来る-』
上田久美子先生が手掛けるお芝居といえば、『星逢一夜』や『金色の砂漠』などノスタルジックで心に切なさを残すような繊細な内容で定評があります。
そんな上田久美子先生がショーを手掛けるとどうなるのか………..想像の斜め上か彼方にすっ飛ばされました。
舞台は地球首都・TAKARAZUKA-CITY。世界統一され、戦争も犯罪も全ての悪が鎮圧されたピースフルプラネット“地球”に、月から放浪の大悪党バッディが乗り込んでくる。バッディは超クールでエレガントなヘビースモーカー。しかし地球は全大陸禁煙。束縛を嫌うバッディは手下たちを率い、つまらない世の中を面白くするためにあらゆる悪事を働くことにする。彼の最終目標はタカラヅカ・ビッグシアターバンクに眠る惑星予算を盗み出すこと。しかし、万能の女捜査官グッディの追撃が、ついに彼を追いつめる!
もう、あらすじから世界観がすごいことに….。
そして、キャストも宇宙人だったり、頭に地球を乗せてたりというビジュアルからの衝撃がます半端ない。
物語は、愛希れいかさん演じる捜査官グッディがピースフルプラネット地球の平和と安全を守っているのですが、そこに月から超悪者である珠城りょうさん演じるバッディ御一行がやってきます。
そして、バッディvsグッディが…。
サングラスをかけ続け、お芝居の時と同一人物とは思えない悪さを醸し続けています。
そしてその佇まいはフィナーレでも…Yahooニュース等にも画像付きで取り上げられていましたが、フィナーレの階段降りでもサングラスをかけ続けた悪者が。
これまでの宝塚歌劇のイメージとは一線を画し「やりすぎでは…??」と声が出るほど。
そんな自分の感想は、正直「頭の回転がついていかなかった」というのが本音です(笑)
ビジュアルや世界観などに呆気にとられすぎて、これまでと同様にショーの中にも男役のカッコよさや宝塚歌劇団ならではの動きがありましたが、それを差し置いても(良い意味での)めちゃくちゃさがすさまじかったです。
もう一度見ればより細部まで感じられるのかな….と。
賛否両論ある作品であることには間違いありませんが、新しい世界観を構築した挑戦は素晴らしいのではないでしょうか。
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